カスハラ対策実務マニュアル
本体価格: 2,900円 (3,190円税込)
- 数量
- 著者
- 香川希理・編著 島岡真弓/松田 優/上田陽太・著
- 発行元
- 日本加除出版
- 発刊日
- 2022-08-25
- ISBN
- 978-4-8178-4821-5
- CD-ROM
- 無し
- サイズ
- A5判 (266ページ)
カスハラ「対策するなら」「相談を受けるなら」まずこの一冊!
【厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(2022年)対応】
類型別業界別の対策・実務がわかる!
【クレーム・カスタマーハラスメントについて、具体的対応から予防策まで解説】
●よくある状況、よくある要求ごとの対応方法を解説。
●厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」に対応。取引内容や企業方針、事業規模や業界ごとの特徴に沿って、企業に特化したカスハラ対策を講じるための一冊。
●顧客に対して謝罪をしなければならない場面における対応、録音や録画をされてしまった場合の対応、インターネット上にクレームを書かれた場合の対応などを具体的に解説。
●裁判例や事例を用いた解説で、カスハラを行う顧客に生じる法的責任や、とり得る法的措置がわかる。
□ クレームを受けた際の対応方法が、フローチャートでわかる!
□ 正当クレーム・不当クレーム・カスハラの区別を図示!
□ クレーム・カスタマーハラスメントに関する裁判例・事例を多数収録!
□ 顧客への回答書、謝罪文、解決金を支払う際の合意書などの文例を収録!
□ 業界ごとのカスハラの特徴がわかる具体的事例を設定。対応方法を示しながら解説!
目次
第1編 カスタマーハラスメント対策の基本
第1章 カスタマーハラスメントとは
1 カスハラの社会問題化
(1) カスハラが社会問題化した背景
(2) カスハラが注目されている理由
(3) カスハラを行う顧客の特徴
2 カスハラとクレームの異同
(1) カスハラとクレームの意義
(2) カスハラと不当クレームの関係
(3) カスハラとクレームの図示
〈図表1 カスハラとクレームの関係〉
3 正当クレームと不当クレームの区別
(1) 区別の方法
〈図表2 正当クレームと不当クレームの区別〉
(2) 要求「内容」が不当な例
(3) 要求「手段・態様」が不当な例
4 不当クレームか否かの判断基準
(1) 前 提
(2) 具体的なケースによる検討
(3) 不当クレームか否かの判断基準の図示
〈図表3 不当クレームか否かの判断基準〉
5 カスハラ対策を阻む誤解の壁
(1) 誤解①「カスハラ対策は業績につながらない」
(2) 誤解②「クレームをさばくのが個人の力量」
(3) 誤解③「お客様は神様」
(4) 誤解④「国は何も言っていない」
(5) 誤解⑤「顧客の納得がカスハラの解決である」
第2章 クレーム対応のプロセス
1 総 論
(1) 「内容の対応軸」と「手段・態様の対応軸」
(2) 「内容の対応軸」におけるクレーム対応のプロセス
〈図表4 「内容の対応軸」におけるクレーム対応プロセス〉
(3) 「手段・態様の対応軸」におけるクレーム対応のプロセス
〈図表5 クレーム対応のフローチャート〉
(4) 再発防止のためのフィードバック
2 【聴取】(顧客の主張の確認)
(1) 聴 取
(2) 事例による検討
3 【調査】(客観的事実の確認)
(1) 調 査
(2) 事例による検討
4 【判定】(要求内容の正当性の判定)
(1) 判 定
(2) 事例による検討
5 【回答】(組織としての回答)
(1) 回 答
〈図表6 書面の送付方法〉
(2) 事例による検討
〈例1 回答書〉
6 【要求内容が正当なクレームの場合:履行】
(1) 履行及び事実の記録
(2) 清算条項等を含む合意書の締結
〈例2 合意書(衣類の汚損に関して和解金を支払う例)〉
7 【要求内容が不当なクレームの場合:反復,こう着状態化】
(1) 同一回答を繰り返す
(2) 法的措置の実施
第3章 組織的対応の重要性
1 組織としての回答
組織としての回答を行うべき理由
2 組織としての方針の決定
3 事前の対応準備
(1) 事前の対応準備の重要性
(2) 事前にすべき準備
4 複数人対応の原則
5 情報共有
(1) 情報共有の重要性
(2) どのように,どのような情報を共有すべきか
第4章 カスハラによるリスクの把握
1 リスク把握の意義
2 リスクの具体例
(1) レピュテーションリスク
(2) 損害賠償責任
(3) 過剰反応による損害拡大
第2編 カスタマーハラスメントの実務対応
第1章 状況別の対応方法
1 電話を受けたときの対応
(1) 顧客情報(氏名や連絡先)の確認
(2) 【聴取】の重要性
(3) 長時間の電話への対応
(4) 脅迫的な電話への対応
(5) 無言電話への対応
(6) 架電禁止の仮処分の申立て
〈例3 仮処分命令申立書(架電禁止)〉
2 メールへの対応
(1) メールの特殊性(長文,多数のメール等)
(2) ウイルスの危険性
(3) 顧客からメールがあった場合
(4) メールが止まらない場合
3 窓口などでの面談対応
(1) 突然の訪問があった場合の対応
(2) 怒鳴り始めた場合の対応
(3) 長時間居座る場合の対応
(4) 訪問禁止の仮処分の申立て
〈例4 仮処分命令申立書(店舗訪問禁止)〉
(5) 被害届,刑事告訴の検討
4 訪問先での面談対応
(1) 場所の問題
(2) 時間の問題
(3) 人数の問題
(4) 相手方支配領域特有の問題
第2章 よくある要求への対応
1 謝罪を要求された場合の対応
(1) 謝罪を要求された場合の一般的対応手順
(2) 道義的謝罪
(3) 法的謝罪
(4) 道義的謝罪と法的謝罪の分別
〈図表7 道義的謝罪と法的謝罪のフローチャート〉
2 念書等を要求された場合の対応
(1) 書面による謝罪を要求してくる理由
(2) 書面による謝罪をするリスク
(3) 書面による謝罪を要求された場合の対処法
(4) 書面による謝罪をする際の注意点
〈例5 謝罪文(法的責任を認めてしまっている例)〉
〈例6 謝罪文(「調査中」とし,道義的責任を認めているにすぎない例)〉
〈例7 謝罪文(道義的責任を認めているにすぎない例)〉
3 「誠意を見せろ」と言われたときの対応
(1) 「誠意を見せろ」と要求することの意味
(2) 「誠意を見せろ」という要求への対応方法
(3) 「誠意を見せろ」という要求の具体的内容が明らかにならない場合
(4) 組織としての回答
(5) 「誠意を見せろ」との言葉で脅迫罪,又は恐喝罪は成立するかについての検討(強要罪については6参照)
4 「社長を出せ」,「上司を出せ」等の要求への対応
(1) 顧客に従業員(顧客対応者)の指名権はない
(2) 従業員(顧客対応者)変更,複数人対応の検討
(3) 決裁権者が出ることの危険性
5 従業員への処分を求められたときの対応
(1) 懲戒処分におけるクレームの位置づけ
(2) 対応方針
〈図表8 顧客の主張内容と対応類型〉
6 土下座の要求への対応
(1) 顧客から土下座を要求するケースが増えてきている
(2) 土下座を要求する顧客に生じる法的責任
(3) 土下座の要求に関する裁判例
(4) 土下座を要求する顧客への対応
〈例8 土下座強要に対する被害届〉
(5) 土下座を要求する顧客への予防策
7 代理人が介入してきたときの対応
(1) 代理人と交渉する法的義務
(2) 代理人を「認める」べき場合
(3) 対応方針
8 金銭請求されたときの対応
〈図表9 賠償額の設定のイメージ〉
(1) ベースラインの設定
(2) 上げ幅の考慮
(3) 合意書の作成
事 例 飲食店を経営する企業が解決金を支払うケース
〈例9 合意書(飲食店を経営する企業が解決金を支払う例)〉
9 初動対応を誤ってしまった場合の対応
(1) 初動対応の誤りの例
(2) 初動対応を誤り,不利な状況に陥った場合のリカバリー方法
(3) 裁判例の検討
(4) 分 析
第3章 録音・録画の問題
1 企業側が録音することの可否
(1) 録音することを言うか言わないか
(2) 無断録音の証拠能力
(3) 無断録音とプライバシー権
(4) 無断録音と個人情報保護法
2 相手方から録音・録画された場合の対応
(1) 録音・録画されることのリスク
(2) 録音・録画を拒絶する法的根拠
(3) 録音・録画されてしまった場合はどうするか
第4章 インターネットの問題
1 インターネット上にクレームを書かれたときの対応(総論)
(1) 対応手順
(2) インターネット上の書込みによる権利侵害の態様
(3) 権利侵害のある書込みへの一般的な対処方法
(4) インターネット上の書込みの削除の方法
2 インターネット上に誹謗中傷を書かれたときの対応
事 例 食品販売会社がインターネット上に誹謗中傷を書かれたケース
(1) 本事例における法的措置の検討
(2) プロバイダ責任制限法に基づく開示手続
(3) 開示請求の要件
〈図表10 発信者の特定から損害賠償請求を行うまでのフロー〉
(4) 【確認】,【調査】,【判定】(図表10フロー①)
(5) 【記録・証拠化】(図表10フロー②)
(6) 発信者情報開示手続─民事保全・訴訟ルート(図表10フロー③A)
〈図表11 民事保全・訴訟ルートの図示(図表10フロー③A,④)〉
(7) 発信者情報開示手続一非訟事件ルート(図表10フロー③B)
(8) 発信者に対する損害賠償請求等(図表10フロー④)
3 炎上してしまったときの対応
(1) 顧客による企業への不満の書込みの分類
(2) 「炎上」に対する対応方針の決定
(3) 対応方法
(4) 反論・謝罪する際の注意点
(5) 顧客等からの書込み等による「炎上」事例の分析
第3編 厚労省カスハラマニュアルを踏まえ企業がやるべきこと
第1章 厚労省カスハラ指針について
1 厚労省カスハラ指針の位置づけ
2 厚労省カスハラ指針の内容
第2章 厚労省カスハラマニュアルについて
1 厚労省カスハラマニュアルの位置づけ
2 企業が独自のマニュアルを作成する必要性
3 カスハラマニュアル作成の留意点
4 カスハラマニュアル目次案とポイント
第3章 その他に企業がやるべきこと
1 企業としての基本方針の策定
2 相談体制の整備
(1) 相談窓口(相談対応者)の設定
(2) 本社担当部署の設定
〈図表12 カスタマーハラスメントに関わる内部手続の流れの例〉
〈図表13 カスタマーハラスメントに関わる内部手続の流れの例(外部専門家がいる場合)〉
3 従業員(被害者)への配慮のための取組
(1) 従業員(被害者)のメンタルヘルス不調への相談対応
(2) 1人で対応させない等の取組
4 研修の実施
5 事例の蓄積とアップデート
6 カスタマーハラスメント対策チェックシートの活用
〈図表14 カスタマーハラスメント対策チェックシート〉
第4章 契約書・約款等の見直し
1 見直しの必要性
2 見直しの観点
(1) 現行の契約書・約款における対応の検証
(2) カスハラ条項の限界
(3) 従業員が使いやすい条項の工夫
3 具体的な条項の検討
第5章 厚労省カスハラマニュアルの留意点
1 カスハラ対策を中心となって進める組織について
〈図表15 カスタマーハラスメントに関わる内部手続の流れの例〉
2 BtoB企業もカスハラ対策が必要であること
3 自社従業員のカスハラ「加害」行為の防止について
第4編 業界別カスハラ対応ケーススタディ
第1章 小売業界
1 小売業界のカスハラの特徴
(1) 「モノ」と「ヒト」に分けた思考方法が必要であること
(2) 現場従業員への直接接触がなされること
2 小売業界のケーススタディ
事例1 「モノ」へのクレーム─商品の欠陥を指摘された場合
(1) 初動対応
(2) 回答への納得が得られない場合
事例2 「ヒト」へのクレーム─説明に誤りがあった場合
(1) 顧客Eの主張の分析
(2) どのような対応を行うか
第2章 食品業界
1 食品業界のカスハラの特徴
(1) 商品が消滅すること
(2) 顧客の主観面も踏まえて対応をする必要があること
2 食品業界のケーススタディ
事 例 「商品を食べて気分が悪くなった」とのクレーム
(1) 治療費負担の要求
(2) 商品代金の返金要求
(3) 商品回収の要求
第3章 介護業界
1 介護業界のカスハラの特徴
(1) カスハラが長期化しやすいこと
(2) サービス利用者及び親族との間で誤解や摩擦が生じやすいこと
(3) サービス提供者に対して甘えが生じやすいこと
2 介護業界のケーススタディ
事例1 サービス利用者からのクレーム
(1) 確認すべき事項
(2) 負傷をさせた事実関係が認められた場合の対応
(3) 負傷をさせた事実関係が認められない場合の対応
事例2 サービス利用者の親族からのクレーム
(1) 確認すべき事項
(2) サービス提供者に落ち度が認められる場合
(3) サービス提供者に落ち度が認められない場合
第4章 不動産売買業界
1 不動産売買業界のカスハラの特徴
(1) 当事者の属性,取引内容等によって適用法令が変わる
(2) 業法等の規制を受ける
(3) 重要事項説明書,売買契約書等の書面が存在する
(4) 説明の不足を原因とするクレームが多い
(5) 法的解決と親和性がある
2 不動産売買業界のケーススタディ
事 例 極めて軽微な瑕疵に基づく売買契約キャンセルのクレーム
(1) 当事者の属性と適用法令の確認
〈図表16 不動産業界チェックポイント〉
(2) 【聴取】(対応プロセス1)
(3) 【調査】(対応プロセス2)
(4) 【判定】(対応プロセス3)
(5) 【回答】(対応プロセス4)
第5章 マンション管理業界
1 マンション管理業界のカスハラの特徴
(1) マンション管理業界にクレームが多い理由
(2) マンション管理業界のクレーム対応の難しさ
2 マンション管理業界のケーススタディ
事例1 区分所有者からのクレーム
(1) 管理会社と区分所有者の関係
(2) 管理組合の運営主体
〈図表17 管理組合と管理会社の関係〉
事例2 管理組合からのクレーム
(1) 管理委託契約の範囲
(2) 管理委託契約の業務内容の確認
〈図表18 管理委託契約の範囲〉
第6章 建設業界
1 建設業界のカスハラの特徴
(1) 業務内容に認識のズレが生じやすいこと
(2) 元請け・下請けの利害対立
〈図表19 直請案件における関係〉
〈図表20 下請案件における関係〉
2 建設業界のケーススタディ
事例1 直請案件におけるクレーム
(1) 契約内容の確認
(2) 第一次回答
(3) 対応方針の確定
事例2 下請案件におけるクレーム
(1) 対立の不合理性
(2) 対応方針
第7章 金融業界
1 金融業界のカスハラの特徴
(1) 顧客の財産や信用個人情報等に関わるため顧客の精神的余裕を奪いやすい
(2) 法令や通達等により多くの制限がある
(3) 窓口やATMの待ち時間,煩雑な手続などにより顧客の精神的余裕を奪いやすい
2 金融業界のケーススタディ
事例1 銀行の窓口におけるクレーム
(1) 確認すべき事項
(2) 落ち度が認められないと判定した場合の対応
(3) 落ち度が認められると判定した場合の対応
事例2 リスク性金融商品に関するクレーム
(1) 確認すべき事項
(2) 法的責任が認められないと判定した場合の対応
(3) 法的責任が認められると判定した場合の対応
第8章 システム等開発業界
1 システム等開発業界のカスハラの特徴
(1) 事業者間契約である場合が多い
(2) 契約内容の不確定及び認識の相違に起因する紛争が多い
(3) 損害賠償額が高額になるリスクがある
2 システム等開発業界の対策ポイント
(1) クレーム予防の対策ポイント
〈例10 受注者側有利の契約条項例(甲=発注者,乙=受注者。経産省モデル契約書を参考に一部改変)〉
(2) クレーム発生後の対策ポイント
3 システム等開発業界のケーススタディ
事 例 「イメージと違うので別の案を出せ」とのクレーム
(1) 【聴取】(対応プロセス1)
(2) 【調査】(対応プロセス2)
(3) 【判定】(対応プロセス3)
(4) 【回答】(対応プロセス4)
(5) まとめ
第9章 冠婚葬祭業界
1 冠婚葬祭業界のカスハラの特徴
(1) 情緒的になりやすい
(2) 取り返しがつかない
(3) 慰謝料請求が多い
2 冠婚葬祭業界のケーススタディ
事例1 ミスが認定できなかった場合
(1) 確認すべき事項
(2) 主張立証責任について
事例2 ミスが認定できた場合
(1) 確認すべき事項
(2) ミスが認定できた場合
(3) 慰謝料を支払う場合の留意点
〈例11 合意書(葬儀社が解決金を支払う例)〉
事項索引
著者略歴